+解剖二日目、メスを入れて一日目でした。
+わたしたちの班はわたしを含む計4人で構成されています。
豚は班に一匹配給されます。使用された豚はいずれも
胎児で、わたしたちの豚「ジャスティーナ」は
約110日のメスです。背にぶちがあります。
+昨日のうちにジャスティーナに紐をくくりつけて
固定しておいたので、準備は簡単でした。
+先生がたまたまジャスティーナを実演に使用したので、
他の班が苦戦した「切開」も難なくクリアです。
茶色っぽい水が出てきましたが、聞いていたような臭いも
ありませんでした。
+今日は内蔵は取り出さないことになっていました。
が、チームメイトのJが肝臓やら腸やらを素手で
いじくりまわすので、気が気ではありません。
ぎゅっと引き締まっていた腸がずるりと緩むので、
中身が出るからと止めても聞くわけがありません。
しかも喉の方まではさみを入れてしまう始末。
確かに短い付き合いではありますが、今日ほどJを
「わからない」と思ったことはありません。
+テキストを読み進めていくと、「豚の口の構成」という
図があり、部位の名前を書き込むようになっていました。

「なんか、口の中見るみたいなんだけど」
「口?わかった、ちょっと待ってて」

Jともう一人、Mが二人がかりで口を開けようとするのですが
力の加減をすれば当然開くはずもありません。
その様子を見ていてふと脳裏によぎったことがありました。
その前日に、一年上の先輩に恒例の「解剖」についての話を
ちょっとだけ聞いていたのです。

「あのさあ…多分それって、ジャスティーナの顎割らないと
いけないんだと思う」
「はあ!?顎!?いや、それってやっていいわけ?」
「いやあ…だって先輩そう言ってたし…」
「いや、つーかそれって許されるわけ?」

そこでJが先生に訊いてみると、随分あっさりした返答が。

「やりたいんならやっても構わないけど」

「だってさ」
「じゃあやるか」

言うや否や両手でジャスティーナの上下の顎を固定し、
思いっきりそれを砕くJ。同時に口の端が裂けます。
とても見ていられませんでした。どうあがいても言い出しっぺは
わたしだったので酷い罪悪感に苛まれます。
しかしここまであっさり実行されるべき行為なのでしょうか、
これは。
Jの奇行を目撃した他の班の人間も、早速真似をして顎を
砕いていきます。教室中で嫌な音が響き渡りました。
+好奇心が強いのか趣味なのかは知りませんが
妙に息投合してしまったらしいJとMで
ジャスティーナの開かれず仕舞だった未発達の目を
鉗子を使って開いてみたりしていました。
刺しやしないかと冷や冷やしていました。
+明日は内蔵を実際に取り出します。
+上の文では普通っぽく聞こえるかもしれませんが、
実は相当精神に堪えています。
しばらく吐き気を催していましたので。
+今は大丈夫です。

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